平成27年5月29日
(一社)日本冷凍食品協会

当協会では本年3月に「食品防御ガイドライン」を策定し、会員、認定工場に送付しました。また、要約したものを協会ホームページをはじめ、一般に公表します。

ガイドラインは一昨年の農薬混入事件を受け、会員、認定工場の食品防御対策の強化を目的としています。当協会では、事件後、認定工場への定期検査の際に食品防御対策の実態について調査を行い、その内容を勘案して「食品防御ガイドラインの考え方」をとりまとめ、昨年11月から2月にかけて、会員、認定工場を対象として、全国で9回の講習会を行いました。この講習会での意見交換などを通じて、実態との乖離が生じないよう、具体的なガイドラインの検討を進めました。

ガイドラインの目指すものは、事件を未然防止できる食品防御体制と、有効な危機管理体制の構築としています。そのため、まず食品防御に対する理解を深めることが重要であるため、食品防御の考え方について、分かりやすく丁寧に解説しています。また、個々の事項を画一的な要求事項とするのではなく、全ての事項に解説を加えることにより、認定工場が自主的にその規模・業態に応じて最適な対策を取るための参考となるようにしています。

ガイドラインの範囲は、工場の施設・設備への加害行為と、原料調達から製品出荷までの工場での製造過程での製品への加害行為を対象としています。出荷後の流通過程での加害行為や、いわゆるフードテロなどの犯罪行為は、工場の対応を超えることから対象外としています。

ガイドラインでは「よい製造現場」を構築することが最重要であるとしています。これは、食品防御が労働安全や食品安全とは一体、あるいは延長線上にあるものであり、そのため、労働安全と食品安全に優れている製造現場は、潜在的に食品防御にも優れた製造現場になるという基本的な考え方によります。

ガイドラインの構成は、本文と付録となっています。今回策定したのは本文ですが、付録は今後充実させていきます。本文第Ⅰ章では、目的と基本的な考え方を記載しています。第Ⅱ章では、食品防御に関する理解を深めるための説明と対策についての考え方を記載しています。第Ⅲ章が具体的な事項の記載で、3つの大項目に分けて記載しています。3つの大項目の中に18の中項目があり、さらに、その中で100を超える事項(小項目)が解説とともに記載しています。

なお、ガイドラインでは製造現場や工程の脆弱性を記載している部分があり、悪意の第三者に悪用される恐れがあるため、一般には要約版を公表します。要約版では、第Ⅰ章は原文の通りですが、第Ⅱ章と第Ⅲ章について中項目ごとに概要を記載しています。食品防御ガイドライン要約版は下記よりご覧下さい。

食品防御ガイドライン(要約版)

当協会では、今後、会員向けに本ガイドラインの説明会を開催し、食品防御への理解を促進し、食品防御体制の強化に向けて支援を行っていきます。

以上