10月31日に報道された、腸管出血性大腸菌O-157の検出による「メンチ 肉の石川」の回収、さらに11月7日に同様の理由による自主回収が発表された米久株式会社の「ジューシーメンチカツ」及び「クリーミィーコロッケ」の報道(毎日新聞、NHK等)で「冷凍食品」であると報道されました。しかし、これらの商品は「そうざい半製品」であり、厚生労働省の規格基準である「冷凍食品」ではありません。
「メンチ 肉の石川」は保存方法が「-18℃以下」と表示されていますが、名称は「そうざい半製品」となっています。
米久株式会社で販売された「ジューシーメンチカツ」及び「クリーミィーコロッケ」については、保存方法は「-5℃以下」と表示されていますが、同製品も「そうざい半製品」です。
「冷凍食品」は、一括表示の中、あるいは近接した枠外に必ず「冷凍食品」の名称表示がありますが、今回回収対象となったいずれの商品も名称は「そうざい半製品」と記載されています。
「冷凍食品」は厚生労働省の「食品、添加物等の規格基準」で製品の規格基準が定められていますが、必ず「冷凍食品」と表示され、保存方法は「-18℃以下」とされています。一方、「そうざい半製品」では国が定めた規格基準はなく、また「そうざい」のように指導指針となる規範も定められていません。
このように「冷凍食品」と「そうざい半製品」は全く異なる食品です。
なお、「そうざい半製品」との違いは参考資料をご覧ください。
参考資料 食品の規格基準(一部)
(1)冷凍食品
- 冷凍食品には以下の3つの規格基準が、「食品、添加物等の規格基準」(昭和34年厚生省告示第370号)で定められている。
①無加熱摂取冷凍食品
・細菌数(生菌数)100,000 /g以下、大腸菌群 陰性
②加熱後摂取冷凍食品(凍結前加熱)
・細菌数(生菌数)100,000 /g以下、大腸菌群 陰性
③②加熱後摂取冷凍食品(凍結前未加熱)
・細菌数(生菌数)3,000,000 /g以下、E.coli 陰性
(2)そうざい
- 上記、「食品、添加物等の規格基準」にはそうざいの規格基準がなく、昭和54年に環食第161号で全国に「弁当及びそうざいの衛生規範」が厚生省環境衛生局食品衛生課長通知で出されており、平成7年の第3次改正が最後である。
- 本規範は製造及び販売の全過程における営業車によるそうざい等の衛生的な取扱い等の指針として作成されたもので、食品衛生監視員の指導指針とされている。
- そうざいとしては、通常、副食物として供される食品であって、次に掲げるものをいう。
①煮物:煮しめ、甘露煮、湯煮、うま煮、煮豆等
②焼物:いため物、串焼、網焼、ホイル焼、蒲焼等
③揚物:空揚、天ぷら、フライ等
④蒸し物:しゅうまい、茶わん蒸し等
⑤あえ物:胡麻あえ、サラダ等
⑥酢の物:酢れんこん、たこの酢の物等 - そうざいの指導基準としては以下となっている。
①卵焼、フライ等の加熱処理したもの
・細菌数(生菌数) 100,000 /g以下、E.coli 陰性、黄色ぶどう球菌 陰性
②サラダ、生野菜等の未加熱処理のもの
・細菌数(生菌数)1,000,000 /g以下
(3)そうざい半製品
- 地方自治体によっては指導基準を設定している場合はあるが、国としてはない。